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| 帝王に選ばれし者〜シンデレラストーリー(イソノルーブル) | コラムニスト:朧 |
平成3年の桜花賞はまだ皆さん記憶に新しいことと思われます。 作家高橋源一郎氏は5着に破れたイソノルーブルをシンデレラにたとえています。 氏曰く「私は不意にシンデレラの物語を思い出した。魔法使いの魔法で美しく変身した彼女は 脱げた靴を そのままにして走り去る。 だが,その靴を持って国中を捜し求めた王子にやがてシンデレラは見出される。 だが靴をなくした抽せん馬に王子はやってこなかったのである。」(「優駿」平成3年5月号) 彼女の青春時代はまさにシンデレラそのものだったのである。 しかし氏の言うように王子は本当にやってこなかったのだろうか? イソノルーブルの売買価格は500万円。まさにお手伝いサンといってよいだろう。 しかも馬体は美しいとはいえないタイプの鹿毛で,覆面でその表情を隠したのも無理はないのではないか と思ってしまう。そんなお手伝いさんがデビューから5連勝もして一気に桜の舞台の主役になってしまう のだからまさに魔法使いが現れて彼女に魔法をかけてしまったのだろう。 では何故桜花賞という晴れの舞台で彼女は栄冠をつかむことができなかったのだろうか? 何故靴を落とし,そのまま新しい靴をはかずにゲートに向かってしまったのか? シンデレラは12時を回ると元に戻ってしまう。 きっと魔法使いのばあさんがルーブルに「あんた,桜の舞踏会に出るならそれまでに12馬身以上 ちぎったらあかんよ」とでもいったのだろうか。 結果13馬身半ちぎった彼女は本番では消え去ってしまったのではないか。 それに加えて桜花賞を勝ったのがメンバー中1,2を争うお嬢様のシスタートウショウだったのも またドラマというもの。 そのまま帰ったルーブルはお手伝いサンとして決して陽の当たる場所へは姿をあらわすことは ないはずだった。 次の舞踏会,樫の舞台では血統,脚質,気性,距離とともにお嬢には敵いそうになかった。 周りももちろんそう思っての4番人気。ばあさんの助けはもう借りることはできない。 だが物語り同様,王子様は靴を落として舞台から去った本当の姫を探していたのだ。 「それはわたくしでございますわ。」と自信満々で言ったのはシスタートウショ ウ,しかし彼女にその靴は 合わなかった。他の18人の少女にも誰にも会わず,最後の最後に大外20番枠のルーブルが 靴を履いてしまった。「何をなさってるの?私こそが王子に相応しいのよ」と凄まじい勢いでシスタ ートウショウがゴール前詰め寄ったがときすでに遅し,落とされた靴はルーブルの足にミラクル フィットしていたのだ。 樫の舞台で起こった奇跡・・・王子はこれに喜び打ち震え,翌週の東京優駿という最高峰の舞台 を圧勝し,新たなる姫を迎え入れた。もちろんその王子とは,それから後数々の苦難を乗り越え 奇跡を起こしてきた帝王,トウカイテイオーである。 彼女ほど劇的且つ感動的に競馬を演出してくれたサラブレッドはあとにも先にもいないだろう, 今後はぜひイソノルーブルとトウカイテイオーが結ばれてほしいものである。また、それによって 新たなる命が誕生した暁には,ひとつ気の利いた名前をつけてわれわれに感動を与えて欲しい もんである。 |
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