読む競馬〜コラムのページ
 
[府中2400に残した忘れ物] コラムニスト:Genu

 例年にない、異常なまでのハイペースで進行した今年のダービー。
 1000m通過が59.2秒と言うのはここ数年、聞いたことがない。
 それもタニノソルクバーノとマイネルブラウの2頭が思い切って行った為。
 この流れが本質的な2400mの勝負を、そしてあの叩き合いを産み出した。
 まずは結果とは別に、このペースを演出した2頭には感謝しておきたい。

 アグネスフライトは状態は良かったが、まだ未完成と言った作り。
 スケール云々は別にしても、現状の完成度ではエアに負けている筈…だった。
 しかしレース振りは素晴らしいもの。
 ダービー至上稀に見るハイペースを最後方待機、4角あたりで進出開始。
 直線入って、一度はエアシャカールとの差が広がりかけるものの、
 そこから更に加速する瞬発力は素晴らしい物。
 これが2代続いてクラシックを制覇したアグネスレディー一族だからこそ為せる技なのか。

 エアシャカールも殆ど勝ちに等しい内容。
 最終調教があまりに軽く、どうなることかと心配したがパドックでの出来は最高潮。
 こちらも後方待機、大欅あたりから捲っていって4コーナーでは早くも先団へ。
 そこからあっと言う間に抜け出して、2冠達成かと思われたのだが…
 最後はアグネスと河内の意地に競り負けてしまった格好。

 勝負の決め手は、残り100で入れた武豊の左鞭だったか。
 彼の頭の中には、恐らく併せに行けばどうにかなると思ったのだろう。
 しかし皐月でも右へと寄れる癖を出していた馬、結局ここでもそれは直っていなかった様子。
 結果として7cmの差だっただけに…
 もし右鞭のままであれば、ダービー3連覇の夢は叶っていたであろう。

 勝ち馬にしても、2着馬にしても歴代の連対馬と比すれば明らかに未成熟。
 これから更に成長すると考えれば、現状でここまでやれる能力はさすがの一言。
 これから秋、引いては来年と良い形で成長していくことを心から祈りたい。

 さて、2番人気12着と大敗したダイタクリーヴァに関しても。
 少なくともデキは皐月当時のものを維持していただけに、やはり距離なのか。
 これがペースが緩んでいれば、もっと上位に来れた可能性もあるのだが…
 今回に限っては2400mを戦うスタミナ、底力が問われる展開。
 母系がスピード寄りのこの馬にとってはしょうがなかった所だろう。


 もう一つ、2頭の優劣を決めた原因があるとすれば、それは過去にこの時期、この舞台に
 置き忘れてきてしまったものをもう見つけたか、それとも見つけていないかの違いなのかもしれない。
 12年前にそれを置き忘れて、それ以降探し続けていた河内洋。
 ダンスインザダークで置き忘れた物を2年前、ようやく探し当てた武豊。
 長く探し続けた物がようやく見えたから。ようやく手の届く所まで来たから。
 だから不利があろうと、最後の最後で差し切れたのだろう。
 「執念」の一言で片づけるにはあまりに惜しい一瞬。
 ウィニングランで見せた彼の小さな握り拳に、思わずそんな事を重ねてしまった。

  ※コラムニストさんはあなたの感想を待っています♪
  感想は掲示板まで!