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同僚馬の光と影(ロイヤルタッチ) コラムニスト:FUKU


 12月のデビューから3戦3勝、うち重賞2勝。
 2戦目のラジオたんぱ杯3歳Sでダンスインザダーク・イシノサンデー・タイキフォーチュンらを打ち負かし、
 続くきさらぎ賞で再びダンスを下した馬。
 ここまでくれば、もうお気づきの方もおられることと思う。
 その馬の名は・・・ロイヤルタッチ。
 なんと言っても、ダービー馬ウイニングチケットの半弟。
 デビュー前から評判は高かった。
 その彼と同期で同厩、隣の馬房の1頭の牝馬。
 生後3日目に見に行った伊藤雄師に"母を超える馬になる"と言わしめた
 オークス馬ダイナカールの娘・エアグルーヴ。
 レースで走る前から、大きな大きな期待を背負っていた。
 2頭ともに。

 エアグルーヴが阪神3歳牝馬Sに出走した同じ日、同じ場所で。
 5R、ロイヤルタッチは武豊騎手を背に快勝する。
 2戦目・ラジオたんぱ杯3歳Sからはフランスの若き天才・O=ペリエ騎手が跨り、
 前述のように怒涛の3連勝を飾る。
 この時点では間違いなく牡馬クラシック戦線の最有力候補だった。そう、この時点では。
 彼が走った2年間で、もっとも幸福だった時間。
 そう、この時間こそが。

 一方、阪神3歳牝馬Sでビワハイジの2着に敗退したエアグルーヴ。
 復帰緒戦のチューリップ賞でビワにリベンジ。
 かくして、伊藤雄厩舎はクラシック最有力候補生2頭(しかも牡牝1頭ずつ)を抱えることとなった。
 だが、好事魔多し。
 ペリエ騎手の単騎免許期限切れに伴い、
 若葉Sでは蛯名騎手に乗り替わったロイヤルタッチ。
 当然の事ながら、圧倒的人気を背負う。
 彼は敗れた。生まれて初めて。
 ミナモトマリノスの豪脚に屈し、2着。
 ハイペースの中、4コーナー2番手という競馬、ミナモトマリノスにとって得意な不良馬場の影響など
 もあっただろうとは思う。
 しかし。
 このときの2馬身半差の敗北から彼の運命は暗転する。
 '96年4月14日、皐月賞。
 弥生賞を勝っていたダンスインザダーク、スプリングSを制した3歳チャンピオン・バブルガムフェロー
 がともに回避。
 ロイヤルタッチは1番人気に支持される。
 時折引っかかってしまう悪癖を持っていた彼。
 道中ややスローな流れの中、南井騎手は中団よりやや後ろに控えさせ、直線に賭ける。
 最後の直線。
 先に抜け出したイシノサンデー。
 インから追い上げるロイヤルタッチ。
 ゴール前、イシノサンデーが内にササる。
 1馬身差の2着。
 春前に身にまとっていた輝きが、徐々に薄れてゆく・・・。

 逆に、彼と入れ替わるようにしてより脚光を浴び始めたのが、エアグルーヴ。
 熱発で回避した桜花賞。
 期するものがあったオークス。
 桜花賞馬ファイトガリバーを完封。
 4歳内国産牝馬の頂点に。
 一方のロイヤルタッチ。
 ダービーも中団からレースを進めるも4着。
 このころから徐々に現れ始めた2頭の光と影。
 まるで、この後の2頭の進む道を暗示するかのように。

 '96年8月18日、ロイヤルタッチ、函館記念で復帰。
 陣営も鞍上に岡部騎手を迎えて復活に賭ける。
 だが・・・
 4コーナー絶好の3番手も、直線全く伸びずに6着惨敗。
 デビュー以来初の着外に終わる。
 さらに、京都新聞杯3着。
 菊花賞2着。
 有馬記念4着。
 大崩れもしなければ、勝てる訳でもない。
 復活の手がかりを掴めぬまま、彼は5歳に。
 模索は続く。
 京都記念、先行して8歳馬ユウトウセイの2着。
 産経大阪杯、中団から伸びるもマーベラスサンデー・ユウトウセイを捕らえられず3着。
 春の天皇賞、4コーナーを過ぎてから謎の競走中止。
 元に戻りそうで戻らない、1度狂いが生じたリズム。
 半年の休養。
 ぶっつけで挑んだ秋の天皇賞。
 同期の僚馬・エアグルーヴと、ディフェンディングチャンピオン・バブルガムフェローの、壮絶な一騎打ち。
 結果、エアグルーヴ、クビ差競り勝ち、その輝きは最高潮に。
 岡部騎手がバブルガムに乗ったため、19ヶ月ぶりに蛯名騎手に操られたロイヤルタッチ、4着まで。
 中3週で出走したジャパンカップ。
 エアグルーヴ2着。
 バブルガムフェロー3着。
 ロイヤルタッチ11着。
 そして、引退。
 奇しくも、バブルガムフェローもJCを最後に引退。
 彼はGT2勝馬として。
 ロイヤルタッチはGT2着馬として。
 そして、6歳まで走り、最強牝馬の名を欲しいままにしたエアグルーヴ。

 あまりにもハッキリと分かれた明と暗。

 あまりにもクッキリと、鮮やかに分かれた光と影。

 一度狂った歯車は、ついに元には戻らなかった。

 どこか、不完全燃焼に見えた現役生活。
 種牡馬入りを果たした彼は、再び戦いを挑む。
 かつてのライバル達に。
 第2の人生で。

 悲願のGT制覇は、2001年からデビューする産駒達に託される。
 種牡馬として同期のライバル、バブルガムフェロー。
 マーベラスサンデー。
 果たして、ロイヤルタッチは見返してやれるだろうか。
 彼らを、そしてかつての同僚・エアグルーヴを。

 それとも、いつの日か観ることができるのだろうか。
 父ロイヤルタッチ
 母エアグルーヴの馬が競馬場で駆ける姿を。
 そういうファンとしての自分勝手な夢を描いてみるのも、
 それはそれでファンの特権のようなものであり、競馬の
 一つの楽しみ方なんじゃないか、と思う。
 例えそれが空想のままで終わったとしても。



ロイヤルタッチ全戦績

年月日 場所
レース名
条件 距離(芝) 馬場 騎手 人気 着順
1着(2着)馬
95/12/3
阪神
新馬
新馬
2000m
武豊
1
1
(エイシンエルーセラ)
95/12/23
阪神
ラジオたんぱ杯3歳S
GV
2000m
ペリエ
4
1
(イシノサンデー)
96/2/4
京都
きさらぎ賞
GV
1800m
ペリエ
1
1
(ダンスインザダーク)
96/3/17
中山
若葉S
OP
2000m
不良
蛯名
1
2
ミナモトマリノス
96/4/14
中山
皐月賞
GT
2000m
南井
1
2
イシノサンデー
96/6/2
東京
東京優駿(ダービー)
GT
2400m
南井
2
4
フサイチコンコルド
96/8/18
函館
函館記念
GV
2000m
岡部
1
6
ブライトサンディー
96/10/13
京都
京都新聞杯
GU
2200m
岡部
2
3
ダンスインザダーク
96/11/3
京都
菊花賞
GT
3000m
岡部
6
2
ダンスインザダーク
96/12/22
中山
有馬記念
GT
2500m
岡部
6
4
サクラローレル
97/2/9
京都
京都記念
GU
2200m
岡部
1
2
ユウトウセイ
97/3/30
阪神
産経大阪杯
GU
2000m
稍重
岡部
2
3
マーベラスサンデー
97/4/27
京都
天皇賞・春
GT
3200m
岡部
4
中止
マヤノトップガン
97/10/26
東京
天皇賞・秋
GT
2000m
蛯名
6
4
エアグルーヴ
97/11/23
東京
ジャパンカップ
GT
2400m
蛯名
8
11
ピルサドスキー